変性意識とかは、どうでも良いのです

今回は、変性意識と神秘体験の話をしましょう。

変性意識とは、日常の意識状態とは、異なる別の意識状態差す言葉です。
例としては、異世界を旅するシャーマン、憑依、ドラッグを使用した際に体験する現象になります。

似た言葉では、トランス状態という言葉もありますが、それより広い範囲を差しています。

自分の提供するブレスワークは、変性意識を特別重視していません。
個人的にも変性意識や神秘体験は興味がありません。

変性意識は、関係ないといいつつ、なぜ、変性意識の話をするかというと、ブレスワークにまつわる日本独特の誤解を解いておきたいからです。

数年前に「ブレスワーク、そんな時代遅れのもの。」と言われたと人づてに聞きました。

思い当たることがあります。

自分がブレスワークを最初に受けた80年代末、ブレスワークは、ブームでした。
グロフの著作である「脳を超えて」のような本が日本で何冊か紹介されたことが大きかったと思います。

彼の著作は、特異な事象、悪魔付や過去世、別の動物になる。
といったブレスで起きる神秘的な体験とその治癒的な効果を強調する内容になっています。

通常と異なる意識状態である「変性意識」の中で起きる「神秘体験」に治癒的な効果がある。

という点が過度に協調された結果、「神秘体験」が起きれば、問題が解決する。
逆に「神秘体験」が起きないのは、何かがうまく行っていない。
という妙な信仰のようなものが流布していたように思います。

長くホロトロピックブレスワークを受けた人で、「自分には何も起きなかった。」と言っている人を二人知っています。

ブレスワークへの過度、あるいは勘違いの期待で多くの人がその効果を理解できないまま「神秘体験」が起きないので自分には、ブレスは効かない。
また「神秘体験」が起きても問題が解決しないことを見て「ブレスワークを時代遅れ」と評価したのでしょう。

グロフのトレーニングを受けた人から聞いたのですが、グロフ自身は、バランスの取れた療法家で、トレーニングは、「神秘体験」ではなく、虐待のトラウマ等、人生の苦悩を扱う場だったそうです。

グロフが著作の中で「神秘体験」や「変性意識」を強調しているのは、研究者として自説を立証するためなのでしょう。

初期、日本でホロトロピックブレスワークを紹介した人達は、実際にグロフの元でトレーニングを受けた訳ではなく、書籍から手探りでブレスワークを紹介していたそうです。

グロフの本から受けた印象そのままに、変わった現象を良しとして提供していたのが誤解の根本かもしれません。

自分の経験から来る理解では、ブレスワークは、まず身体的な現象です。
呼吸によって活性化された意識と体が自律的に必要なことを始め、未完成な体験を完結させていきます。

そのプロセスで「神秘体験」と呼ぶような体験も起きることがあります。

しかし「神秘体験」は、呼吸によって喚起される多様な現象の一つにしかすぎません。

自分の場合、参加者が不思議な体験をシェアしてくれたとしても「そうですか、そんなこともありますね。」で通り過ぎるようにしています。
体験の全ては、今、その人が直面している人生、苦悩、テーマに関するメッセージ、あるいは補償として現れてきます。
ブレスでの体験は、良いものであっても悪い物であっても、ただ表現されるだけで十分な効果があるのです。

ちなみに自分は、「神秘体験」と呼ぶべきものを体験したことはありません。
それでも、今にして振り返れば、ブレスによって、確実に自分の体質は、変化していました。

いつの間にか、気が付いたら変化が起きている、それがブレスの良いところだと思っています。

最後に自分のセラビストの体験を書いておきます。

彼女が最初にブレスワークを受けた時、いきなり強烈な神秘体験をしたそうです。

胎蔵界曼荼羅の中心に自分がいて、自分から次々と新しい仏が生まれていく、強烈な体験だったそうです。

余りにその経験が素晴らしかったので、その後何回も受けたのですが、期待が大きすぎたのでしょう。
30回以上、何も起こらなかったそうです。

何にも起こらないのに悩み、アメリカまでスタニワフ・グロフのトレーニングを受けに行きました。

「見たなら、忘れなさい。」

これは、ファミリーコンストレーションの創始者であるバートへリンガーの言葉です。
どれほど素晴らしい神秘体験であってもブレスの中で起きることは、基本的に忘れるための体験なのです。

では、今日はこの辺で終わります。

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